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​お伝(おでん)の会とは

​お伝(おでん)の会は、2017年11月に開催された「21世紀かながわ円卓会議」シンポジウム(かながわ国際交流財団・主催)に討議者として参加した人たちによる「学び」の場。シンポジウムでモデレーターを務めた井手英策・慶應義塾大学教授の呼びかけ(*下段参照)に、高齢者福祉、障害者福祉、多世代が集う居場所づくり、子育て支援、小規模多機能自治、多文化共生、とそれぞれの分野で活躍する人たちが再び集う。

加藤忠相  株式会社あおいけあ代表取締役/藤沢
名里晴美  
社会福祉法人訪問の家理事長/横浜
馬場拓也  
社会福祉法人愛川舜寿会ミノワホーム常務理事/愛川
早川仁美  地域のお茶の間研究所さろんどて事務局/茅ヶ崎
原 美紀  NPO法人びーのびーの事務局長/横浜
府川悟志  小田原市市民部地域政策課長/小田原
裵  安(ぺいあん) NPO法人かながわ外国人すまいサポートセンター理事長/横浜
三浦知人  社会福祉法人青丘社事務局長/川崎

井手英策さんの呼びかけ

 僕たちの生きる社会は、いま大きく変わろうとしています。日本史に残るような人口減少がとうとう始まりました。民主主義や財政システムが機能不全になり、これに所得の減少が重なったことで、多くの人びとが生活苦と将来不安におびえきっています。

 誰もが不安に押しつぶされそうな社会―そんな社会に変わったにも関わらず、人びとのくらしからかけ離れたところで「人権」や「正義」を訴えるリベラルは、少しずつ社会的な孤立を始めています。僕たちはいま、再びこの社会に「公正と自由」を取り戻すための、新しいリベラルのための闘いを始めなければいけない、そんな地平に立たされている、そう僕は考えています。

 ファシズムの暗い影が世の中を覆い尽くした時代のことです。主人公は誰だったか。「転落の恐怖」におののく人びとの声なき声を吸いあげる「ふり」をした独裁者でした。思い出してください。右傾化も、軍事化も、差別も、迫害も、その根底にあったのは人びとの生活不安でした。

 みなさんに問いたい。僕たちが分断と亀裂のない、公正で自由な社会をめざすのであれば、まずやるべきは、すべての人たちのくらしの底支えではないでしょうか。困っているだれかに救いの手を差しのべるのではない。だれもが必要な、生活のニーズをみんなで満たし合う、連帯と協働の社会へとあゆみを進めていくことではないでしょうか。

 そう、僕たちは、この社会に引かれた分断線をかき消すために、介護、障がい、医療、子育て、教育、この社会で生きているすべての人たちの生活ニーズを全体として保障しあう社会をめざしていくべきだと思うのです。この考えにみなさんはご賛同いただけないでしょうか。

 僕たちは「かながわ円卓会議」をつうじて、それぞれの討議者がいかなる課題にどのように取り組もうとしているのか、わずかではありますが理解し合いました。でも、この貴重な経験を跳躍板としなければ、円卓会議の意味が霧消してしまいます。それぞれの専門領域で問題を完結させるのは不可能です。行政だけではなく、地域社会が全体として、人間のくらしのニーズを満たし合うモデルをこの神奈川の地から発信して行きたい。そのためには、みなさんとの対話がどうしても不可欠です。そのような場を何とか僕は作りたいのです。

 希望はだれかのポケットに入っているのではない。希望は人と人との間に存在します。希望は人から求められ、必要とされることで生まれます。もちろん、僕たちは人から求められることを望みます。ですが、生まれたとき、病気になったとき、年老いたとき、僕たちは必ずだれかを必要とします。人生のすべてのステージのどこかで、お互いがお互いを、求め、求められる社会、頼り合える社会こそが希望の社会ではないでしょうか。

 人間の歴史を見てください。「国家」や「社会」という助け合いの組織は「共同の困難」を分かち合うことから生まれました。ここ神奈川の地で、僕たちそれぞれが抱える「困難の共通点」を理解し合い、希望の社会を生み出すための一歩を踏み出す。そのための対話を始めませんか?

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